「さっき説明したのに、また違っている」。忙しいと、教えた回数ばかりが気になります。しかし相手は、内容を忘れたのではなく、どこから始めるか、何をもって完了とするかが分かっていないのかもしれません。
相手を問い詰める前に、止まっている場所を一緒に見つけましょう。 同じ説明を長く繰り返すより、作業の一部分を見る方が手がかりになります。
「分かりました」だけでは確認できない
「分かった?」と聞けば、相手は気を使って「はい」と答えることがあります。教える側にも、普段からしている手順ほど省略してしまうことがあります。
例えば「会議資料を準備して」は、印刷するだけなのか、人数分をまとめるのか、会議室に置くまでなのかが曖昧です。まず、完成した状態を一つ示します。
障害者の職場定着を扱うJEEDの資料には、完成の見本や分かりやすい指示を使う工夫が紹介されています。本記事では、相手を診断したり分類したりせず、日常の指導でも試せる例を考えます。
3分でできる「見本→実演→確認」
- 見本を見せる。 「この順番でまとめた資料を、6部用意すると完了です」と伝えます。
- 一つだけ一緒に行う。 最初の1部を並べるところまで、ゆっくり見せます。
- 相手に次の一つを試してもらう。 見ながら必要なところだけ補足します。
- 確認の時点を決める。 「2部できたら見せてください。その後で残りを進めましょう」と約束します。
このやり方なら、最後まで作り直す前に、順番のずれに気づけます。時間は練習の目安です。作業が危険・複雑な場合は必要な指導時間を確保してください。
実演で使う言い換え
会話・練習の例
先輩:「私の説明で抜けていたところがあるかもしれないので、最初に何をするか、一緒に確かめてもいいですか」
新人:「まず、全部のページを人数分印刷します」
先輩:「印刷の前に最新版かを確認します。ここが今日の注意点です」
「理解度を試す」空気ではなく、説明の抜けを見つける時間にします。新人側も「最後はどこへ置けば完了ですか」と質問しやすくなります。
メモは、教える人と教わる人で共有する
メモの項目は「完成の形」「最初の一手」「途中確認」「困ったときの相手」の四つに絞ります。細かな手順を全て書こうとして作業が止まる場合は、既存のマニュアルに確認箇所を印す方法でも構いません。
指導者によって指示が違っていたら、本人に選ばせず、教える側でそろえます。矛盾する指示を受けた状態で、本人の注意不足だけを原因にしないことが大切です。
次回は「どこまで一人でできたか」を見る
翌日、同じ仕事があれば、昨日の見本を見て始められるか確認します。できたところは「最新版を先に確認できたね」と行動を言葉にします。次に支える点がはっきりすれば、教える側の負担も相談しやすくなります。
よくある質問
教える時間を確保できません。
完成見本だけ先に用意する方法から始めます。それでも時間が足りなければ、教育担当者の仕事量や教える時間を上司と調整しましょう。
メモを取ってくれないときは?
書く、見本を参照する、チェック欄を使うなど、どの方法なら確認しやすいか聞いてみてください。記録方法より、作業を安全に再現できることが目的です。
学びを、次の行動につなげたい方へ
人を育てる関わり方を学びたい方は、実際に教えている仕事と、相手が止まりやすい場面を整理して研修をご相談ください。
会話や練習は、記事用に作成した実践例です。正式な講座内容・受講条件は、そんとく塾へご確認ください。
参考にした公開情報
確認日:2026年9月28日。資料は課題や考え方を検討するための参考情報です。各機関が本記事や独自の練習例を監修・推奨していることを示すものではありません。
